燃え殻さんについて。大人になれない日々はつづく。

大好きな燃え殻さん、大好きな街
五箇公貴 2026.08.02
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友人に燃え殻さんという作家さんがいる。「ボクたちはみんな大人になれなかった」という小説がNetflixでも映画化された小説家であり、面白くて切なくいエッセイを書かれる作家さんである。出会いは燃え殻さんが「ボクたちはー」をCAKESというメディアで連載されていた頃。僕は前職のテレ東でプロデューサーをしていました。何とかドラマ化をしたいと思って色々相談をさせて頂きましたが、僕の力不足で上手くいきませんでした。その時に、色々お話をさせて頂いたのですが、ほぼ同年代で同じ様な若い時期を送ったことがとても親近感がわきました。ちなみに「ボクたちはー」その後、別の方のプロデュースでNetflixで映画化されることになります。

僕も新入社員から数年間はイベントの部署にいて、そこから移動でバラエティのADを始めたんですが、当時ドラマのプロデューサーは制作部での下積みが必須だったこともあり、年下のADから教えを請いながら眠れない日々を過ごす生活が続きました。僕はカンペもろくに出せず、ADとしては全然ダメだったので、かなり先輩から怒られましたし、ここでは書けないようなことも沢山ありました。「ボクたちはー」のように、いつの間にか飛んでしまう仲間も少なくありませんでした。

燃え殻さんはテレビの美術制作会社の社員という同じ業界で似たような時を過ごしていました。燃え殻さんの小説やエッセイにはあの頃のヒリヒリした切なさがふんだんに詰まっています。僕には燃え殻さん程、素敵で心ときめくエピソードはなかったけれど。

燃え殻さんとはたまに飲む間柄ですが、希代の人たらしだなと思います。肩の力が抜けていて、ダメな感じを出すけど博識。人一倍努力をしていて、それを見せないようにしているが、それは色気としてだだ洩れしていて、ほっておけない。僕も燃え殻さんになれるわけではないけど、見習うことはできるから勧められるがままにこのエッセイを始めてみました。

燃え殻さんの大好きなエッセイ。お互い何とか続いていますね

燃え殻さんの大好きなエッセイ。お互い何とか続いていますね

ビューティフルドリーマーと中年の危機

こないだ飲んだ時は僕がドラマのロケと鉄鋼商社の決算報告が重なり、会社と静岡のロケ場所を車で何度も往復した結果、メンタルをやられてしまったという話をしました。そこに端を発し、燃え殻さんは敬愛する筋肉少女帯という往年の人気ヘビメタバンドのVo.大槻ケンジさんの話をしてくれました。

ある朝、大槻さんがいつものように鏡をのぞいたら知らないおじさんがそこにいたそうです。人生はビューティフルドリーマ―ではなかった。文化祭をやり続けていると思っていたが、気が付いたら自分の外見は老い、自分の気持ちとの落差に愕然とした。ひどく落ち込み鬱になった大槻さんはそこから独学でギターを学び、弾き語り全国ツアーを始めたそうです。

また、リリー・フランキーさんもかつてインタビューでこう語るそうです。


「鬱は大人のたしなみですよ。それぐらいの感受性を持ってる人じゃないと俺は友達になりたくない。こんな腐った世の中では少々気が滅入らないと。社会はおかしい、政治は腐ってる、人間の信頼関係は崩壊してる、不安になる。正常でいるほうが難しい」

吉田豪「サブカルスーパースター鬱伝」

当時イラストレーター、作家として活躍していたリリーさんはその後、俳優としても確固たる地位を築きます。僕の心の師、サ道の原作者・タナカカツキさん曰く、「沢山の種類のつながりという手綱を握っておいた方がいい。たとえ手綱が一本切れたとしても繋がりは残るから」。本当にそうだ…。先輩たちの生き様は本当に勉強になるし気持ちの支えになります。

僕の中でのある種、気持ちの支えでもある燃え殻さん。飲むと決まって「いつか一緒に作品作りをやりたいね」って話すけれど、文化祭はずっと続かない。そろそろ大人にならないとな…。

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燃え殻さんと大塚

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