映画「サヨナラの引力」に見る男女の別れ方の違い
今年一番はまったドラマ「誰もが無価値な自分と闘っている」主演のク・ギョファンが主演の恋愛映画ということでずっとみたかったのだが、やっとみられた。韓国で260万人動員しているそう。日本だったら客単1500円とみても39億売り上げているので恋愛映画としては異例のヒットだと思う。
こっから先、軽くネタバレします。
端的に言うと10年前に大恋愛の末、別れたカップルがひょんことから再開し、一晩を共に過ごす間に10年前のお互いの気持ちを反芻してくと言う、恋愛ドラマ。A24の名作『PASTLIVES』や『花束みたいな恋をした』みも感じる佳作でした。監督は『82年生まれ、キム・ジヨン』のキム・ドヨン。
TVドラマでは絶賛楽しみな「Tシャツが乾くまで」はあるけれど、大人の恋愛映画が少ない昨今。ビターでスイートな大人の恋愛映画を見られて満足でした。韓国映画界は厳しい状況が続いていると聞くけど、こういう映画が見られているというのを聞くとホッとしますね。
『PASTLIVES』や『花束ー』を引き合いに出したのは、若者が世の中に出ていく成長過程において、”やりたいこと”と”金を稼いで生活を営むこと”の間で折り合いをつけながら心をすり減らしていくという王道なストーリーながらも、大きな事件が起こるわけではなく、少しずつ価値観の相違が生まれていき、その積み重ねが別れに至る、というところが共通しているから。2009年のリーマンショックの頃が舞台になっており、超就職難の中で理不尽に耐えながら、理想とかけ離れたライスワークに身をやつす二人を見ていて、『花束ー』の麦と絹、むしろそれ以上に韓国の超競争社会の切実さがあり、見ていてヒリヒリしました。
僕はこういうラブストーリーが大好きなのでNETFLIXで配信中の「キンパとおにぎり」も細かい価値観の相違が互いの成長を促す反面、恋愛的には距離ができてしまう、というドラマになっています。だって、思い返せばだいたい恋愛って苦いですもん。それで、引きずるのは男の方が多い気がするのは気のせいでしょうか。
『PASTLIVES』も『花束みたいな恋をした』も『サヨナラの引力』の主人公も。3人とも理想を抱きながらライスワークに心身すり減らし、パートナーとの価値観の相違をきっかけにケンカをして関係が悪くなる。男性は感傷的になる相手を責め、結果女性は三下り半を突きつける。男性の方が彼女やパートナーのことを周りに愚痴らない。同性にそれを言うのが恥ずかしいんです、たぶん。なので内にためがちです。女性は友人に愚痴を言うなり外に発散の仕方が上手。銭湯行っても露天風呂にいるとずーと女湯は誰かしゃべっています。男湯はみんな静かにぼーっとしている。世の恋愛コンテンツは圧倒的に女性向けが多いのも納得できます。
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数年前に離婚したプロデューサーの友人(女性)と飲んだ時の話。彼女はドキュメンタリーを中心に活躍している方なんですが、作るものも独自性があり面白いし確固たる自分を持っていて、僕はとても尊敬しています。彼女は離婚するときに旦那に言われたことを今も忘れないと言います。