拝啓 今日もアホに生きています

プロデューサーと商社経営、2足の草鞋。
五箇公貴 2026.08.02
誰でも

はじめまして。五箇公貴と申します。

WEBでもエッセイ日記は初めての試みなのですが、友人の作家、燃え殻さんに背中を押されてLetterをはじめました。

私は四半世紀近くドラマや映画のプロデューサーをしています。また医療メーカーに注射針の材料となる鉄を卸売する鉄鋼商社の経営もしています。

どうしてそういうことになっているかは追々ご説明しますが、ドラマ「サ道」や「天狗の台所」シリーズ、映画『舟を編む』などの作品をプロデュースしてきました。

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「優しいニュース」

ある朝、起きるとラジオからニュースが流れてきました。そこではGDPの成長率や株価のこと、戦争のこと、さまざまなことをゲストの論客が私論をぶつけています。それに対してパーソナリティは同調する。子供の頃からそんなことが延々と繰り返される毎日がずっと嫌で、でも大人になってもそれは続いていて。そんなときに僕は、優しいニュースばかり流れるラジオ局があればいいのにな、と思いました。

町田康さんという作家さんがいます。彼の「しらふで生きる」という本を僕は擦り切れるように読んでいます。今でもそれは自分の人生の指南書としてことあるごとに引っ張りだし、マーカーを引いた箇所を反芻します。この本は、元々アル中手前だった町田さんが、断酒に至るまで、いかにその誘惑を乗り越えるために自分の独自のロジックを形成し、精神をだまし、人間改造していったかを面白おかしく描いた本です。この本は酒を断つための本ではあるものの、僕には人生の指針をくれる哲学書だと思っています。そこで町田さんはこう唱えます。

読みすぎてボロボロ。

読みすぎてボロボロ。

人間は普通以下のアホである。

簡単に要約すると、人は何かにつけて酒を飲む(何かに依存する)理由を探している。だから、些細なストレスを口実に酒を飲む。自分はこんなに頑張っているのに報われない、不当に扱われている、だから酒ぐらい飲む権利があってもいいじゃないか、それくらい許してほしい。そもそも、自分が誰かより優れていると思うから、誰かと比較し、落ち込むわけで。自分を普通以下のアホと考えていれば、不当な扱いをされても、ま、そんなもんか。と心に波風を立てずに生きていけるし、酒を飲む理由としてそれが有効にならないので、酒を飲まずにすむ。というロジックなんです。

これは僕の中でかなり指針になっています。正直生きていると理不尽なことばかりだと思います。でも、まあ、それがデフォだもんな、みんなそう思って生きてるもんな、と思うと不思議と腹も立たないし、嫉妬も減っていく気がします。声や態度が大きくて、人に何かを力ずくで強いる、そういう人たちとは一線を画して、穏やかな気持ちで生きていきたい。そんな思いを抱きながら暮らす日々の気付きを「優しいニュース」として皆さんとシェアしていこうと思います。僕の作っている「サ道」や「天狗の台所」を始め、色々な作品の裏側、そしてもう一足の草鞋である鉄鋼商社でのエピソードも交えながら。

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